2025.07.30
行きたい高校に届かない。それでも“進路選び”は続いていく
中学2年生の頃、学校にはほとんど通っていなかったある生徒。
それでも今は、自分のペースで登校を続けながら、受験に向けて学習にも取り組んでいます。
「定時制高校がいいかな」
「通信制高校も見に行ってみようかな」
そうやって、少しずつ前を向いて進路を考えられるようになったのは、ここ最近のことです。
そんな中、ある全日制高校の存在を知り、学校の雰囲気がすっかり気に入った様子。
「ここ、行きたい」
そう素直に口にするその姿に、複雑な気持ちになったのを覚えています。
現実はそう甘くありません。
点数も、内申点も、今の状況では到底届かない。
その事実を一緒に確認したとき、彼はつぶやきました。
「行きたくなくて学校を休んだわけじゃないのに」
「もっと早く頑張れてたら、行けたのかな…」
悔しさ、後悔、そして絶望。
それでも彼は、こうも続けました。
「でもさ、不登校になってなかったら、ヒトノネにも来てなかったし、
ここの人たちにも会ってなかったんだよな。
これはこれで、よかったのか。」
どんな進路を選ぶか。
どこに進学するか。
それだけが、進路選びのすべてではありません。
「思うようにいかないことを受け止める力」
「それでも前を向こうとする気持ち」
「今いる場所に意味を見出そうとする視点」
そうした心の成長こそが、進路選びを通じて得られる一番の学びではないかと、彼の姿を通じて私たちも改めて考えさせられました。
高校受験は、人生で初めて「自分で選ぶ」大きな経験。
希望を抱き、絶望にぶつかり、でもそこで終わらず、自分の選択をしていく。
そのすべてを、私たちは支えていきたいと思っています。