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算数の時間に電卓を使うのは合理的配慮か | ブログ | ヒトノネ 育ち合う社会を
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算数の時間に電卓を使うのは合理的配慮か

四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)に苦手さがある子はたくさんいます。
その子の学力を伸ばすためのアプローチを考えるとき、2つの視点でみる必要があるなと思っています。

 特別支援教育の視点

1つ目は、特性に応じた指導で、どうにかできる部分をどうにかする「特別支援教育」の視点です。

例えば、九九が覚えられない、ものすごく時間がかかる子の場合、
視覚優位な子なら、九九カードを使って繰り返し練習すると身につきやすいかもしれないし、
聴覚優位な子なら、歌にして歌うことがいいかもしれない。

好きなキャラクターのついたワークならやる気が出るとか
途中で休憩を入れる方が集中して頑張れるとか
静かな環境だと取り組みやすいとか
環境調整的なこともあります。

「一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援をする」
という特別支援的な視点は、学習に困っている子への支援には欠かせません。

合理的配慮の視点

2つ目の視点は、ツールを用いて、どうにかできない部分に配慮する「合理的配慮」の視点です。

例えば、九九が覚えられない、ものすごく時間がかかる子の場合、
九九ができないことによって2桁の掛け算ができない、割り算ができないなど
九九ができないことによって、九九以外の学習が阻害されることがあります。

その場合は、九九表を見たり、電卓を使っても良いことにして、その先の学習を理解できるようにする。

これと同様に、計算が難しいために文章問題の意味を読み取り立式するなどの学習が阻害されている場合には、電卓を使っても良いことにして、その先の学習を理解できるようにすることもあります。

「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」
という合理的配慮の視点もまた、学習に困っている子への支援には欠かせません。

 合理的配慮の実態

教育の現場ではこれからの視点を織り交ぜて支援がなされているのですが、合理的配慮については難しさもあります。

実際、学校で電卓を使用したいと申し出たものの認められないケースもあれば、
普段の学習では認められるが、テストでは使えないケースもある。
対応は様々です。
公平性の観点などから。

合理的配慮で九九表や電卓の使用を認めた方が学力が向上するのか

この議論は的外れだと感じます。
何の目的で何を目標にしているか次第だからです。

計算を正確にする・早くすることが目標なら、当然、九九表や電卓は使わないし、それ以外の力をつけることが目標なら、使った方が効果的。
もちろん、その子の困り感にもよりますが。

何を学ぼうとしているか、何を測ろうとしているかに合わせて、合理的な選択をしたいものだなと思います。